埼玉ニュービジネス大賞 「大賞」「優秀賞」「アイデア賞」
ご受賞者インタビュー
埼玉ニュービジネス協議会では、受賞後の反響や成功事例、さらにご受賞者様の取り組みを広く紹介することで、次世代のビジネスパーソンや新たな事業に取り組む方々に、インスピレーションを感じていただけることを目指しております。今回は新しい試みとして受賞された方々にインタビューを行い、事業への思い、活動の成果、そして今後の展望について伺いました。
第1回 埼玉ニュービジネス大賞 大賞
株式会社レグミン
代表取締役 野 毛 慶 弘 様

1. 応募のきっかけ
ー知るきっかけ 埼玉りそな銀行からの紹介を受け、応募を決定。
ー埼玉ニュービジネス大賞の印象 深谷市から埼玉全体への事業展開を意識。これまでは農業系のピッチコンテストに出場していましたが、他業種が参加するビジネスコンテストに挑戦することで、自社プロダクトの成長に繋がる好機と捉えました。
ー創業背景 2018年、「地域の農家をサポートしたい」という想いを原点に創業。現在7期目を迎える当社は、静岡出身で農業を営む実家に育った経験から、生産者の減少という課題を意識し、大学同期である野毛(マネジメント担当)と成勢(システム担当)と共に起業しました。
深谷市を拠点に、同市の豊かな農業文化や地域特性に支えられ、温かい支援を受けながら事業を展開しています。
2. 提供されているサービスの課題解決と対象
ー解決する課題 農業における生産者の減少に対応し、生産効率を向上させること。小松菜栽培からスタートし、現在はねぎやブロッコリーの栽培支援に注力しています。
ー具体的なサービス 主力製品:ねぎの自動農薬散布ロボットを開発。GPSや地磁気センサーを活用した特許技術で自律走行を実現しています。ドローンを上回る大容量散布が可能で、ねぎの根元近くに均一に散布することで、作業効率の大幅な向上と負担軽減に貢献しています。
ー応用の可能性 畝幅に合わせた設計により、ねぎ以外の露地栽培作物への応用も可能です。現在はブロッコリーへの転用を進めており、さらなる展開を目指しています。
未来への挑戦:レグミンは食品加工の自動化やハウス栽培用ロボットの開発にも積極的に取り組み、農業から食品加工までをシームレスに結ぶインフラ構築を目指しています。
ー未来への挑戦 レグミンは食品加工の自動化やハウス栽培用ロボットの開発にも積極的に取り組み、農業から食品加工までをシームレスに結ぶインフラ構築を目指しています。
3. 受賞後の変化
ー問い合わせの増加 他事業者や金融機関からの問い合わせが増え、新たな事業連携のきっかけとなりました。また、部品会社や食品加工業者とのネットワークも拡大しました。
ーネットワーキングの強化 農薬散布ロボットに加え、食品加工自動化ロボットの開発にも着手。食品加工で課題を抱える方々に向けて協力体制を構築し、ブロッコリーのカットロボットなど新製品開発を進めています。
4. 次世代へのメッセージ
ー受賞の意義 埼玉ニュービジネス大賞の受賞は終着点ではなく、事業成長のスタート地点です。特に知名度向上の効果が大きく、さらなる発展の基盤となりました。
ー学びのポイント 面接審査での質問を通じて、新たな気づきや改善点が見つかり、事業のブラッシュアップに繋がりました。
ー自己棚卸しの重要性 エントリー書類の作成を通じ、自社の状況整理や棚卸しを行えたことが非常に有益でした。

埼玉県深谷市上柴町西7-16-16
第1回 埼玉ニュービジネス大賞 優秀賞
エコデザイン株式会社
専務取締役 長 倉 正 弥 様

1. 応募のきっかけ
ーきっかけと背景 埼玉りそな銀行小川支店での情報提供を契機に、以前受賞した「彩の国SDGs技術賞」を足がかりとして応募を決断。タイミングが良かったこと、経営者の熱意が応募の後押しとなった。
ー目的 受賞そのものを目的とするのではなく、これを機に実際に役立つ事業計画を作る事や社内の方向性の整理を目的とした。事業計画策定に当たり各メンバーが立場ごとに意見を出し合うことで、社内の方向性が整理された。
2. 提供サービスと社会への貢献
ー解決する課題と対象 オゾン技術を活用し、持続可能な社会に貢献するソリューションを展開。主な課題は水質浄化や陸上養殖の循環型技術など。市場の可能性は大きく、同社独自の技術である「オゾン生成技術、オゾン溶解技術(特許取得済)、オゾン測定技術」を核とする。
ー目指す姿 社名「エコデザイン」に込められた理念は、「循環型産業構造の構築に向けた技術的貢献」の実現。持続可能な社会を目指し、プロフェッショナルとしてエコロジー社会の実現に貢献。
3. 受賞後の変化
ーネットワーキングの充実 ニュービジネス協議会のメンバーとの交流が活発化。ユニフォームやパンフレット制作を協議会会員メンバーに依頼するなど、実利的な効果もあった。
ー自信の向上 以前に受賞したSDGs技術賞は、当社の元々の理念であった循環型社会への技術的貢献という分野での受賞であったが、今回のニュービジネス大賞は様々な分野の企業が集まる中での受賞であり、自信につながった。家族からの喜びの声も大きな励みとなり、プレゼンテーション能力向上の場としても活用できた。
ー新たな取り組み グループ企業設立を視野に入れたホールディングス体制の強化を進めている。
4. 次世代へのメッセージ
ービジネス計画の重要性 埼玉ニュービジネス大賞のような表彰事業に応募する場合であっても、そのための事業計画は受賞のためではなく、経営の強化に役立つものであるべき。時間と労力をかけ、他者の意見も聞きながら自らの考えをまとめ、書面に落とし込んだ事業計画は実際に会社の未来を形作る力を持つ。
ー授賞式の価値 多くの刺激的な人物と触れ合う機会であり、自己成長の場として捉えることが大事。振り返りと成長の機会をノーリスクで得られる点が、ビジネスコンテストの大きな魅力。
まとめ
受賞を通じて得た学びや変化は多岐にわたる。事業計画の作成やネットワーキング、自己成長の場としての活用は、今後のビジネス展開においても大きな力となることを実感している。

埼玉県比企郡小川町青山926-1
TEL 0493-72-6161 FAX 0493-72-6162
第2回 埼玉ニュービジネス大賞 優秀賞
株式会社SAL
代表取締役 清 水 郁 也 様

1. 応募のきっかけ
私(清水様、以下、私)が埼玉ニュービジネス大賞に応募したのは、事業の理念と募集内容が一致したことが大きな理由でした。まとめサイトやビジネスコンペの情報を通じてこの賞の存在を知り、新規事業において社会的な評価を得ることが自社の事業の成長につながると考え、応募を決意しました。私は2019年6月、大宮にスポーツジム「CrossFit Omiya」を創業しました。その後、8月には北浦和にも展開し、地域に根ざした健康産業としてのコミュニティビジネスを展開してきました。2024年には新たな事業展開を計画し、クロスフィットやスポーツ学童を通じて、多世代に運動の機会を提供することを目指しています。
※会社名は株式会社SAL。スポーツジムの名前はCrossFit Omiya。
※ 2021年2月にはCrossFit Urawaを武蔵浦和に展開。
2. ご提供されているサービスが解決する課題や、どのような方々の役に立つか
本事業は、社会が抱える課題解決に寄与していると考えています。子どもたちには運動機会を提供することで身体的な健康を促進し、親世代には共働き世帯の負担を軽減するための時間を創出しています。また、地域社会には運動を通じたつながりを生み出し、地域全体の健康と交流を促進する役割を果たしています。特に保育施設とスポーツチームを提携させるという取り組みは、効率的で持続可能な仕組みを構築することに成功しています。その一方で、運用面での試行錯誤やトラブル対応の難しさもありましたが、そうした経験を通じて現在のモデルに昇華させてきました。
3. 受賞後にどのような変化があったか
受賞後にはさまざまな変化がありました。テレビ埼玉やNACK5といったメディアで取り上げられたことで認知度が大きく向上したほか、事業者間での問い合わせや交流の機会も増えました。特に、さいたま市が関与するスポーツチームとの連携を模索し、オープンイノベーションを通じた新たな取り組みにも期待を寄せています。また、来年度以降には大規模な資金調達も視野に入れ、さらなる事業拡大に向けた準備を進めています。
4. 次世代の後輩に向けたメッセージ
私は、ビジネスコンペは単に受賞を目指す場ではなく、楽しむことが重要だと考えています。特に、参加を通じて得られる人脈は非常に貴重であり、それが事業の成長に大きく貢献します。また、「新しいビジネスの創造を恐れず挑戦を続けてほしい」という力強いメッセージもいただきました。埼玉ニュービジネス大賞への参加は、事業の成長と自己の成長を同時に実現する貴重な機会であり、これから挑戦する人々にもその価値を感じてほしいです。

株式会社SAL
埼玉県さいたま市南区別所6-15-16 CrossFit Urawa
第1回 埼玉ニュービジネス大賞 アイデア賞
ASTRA FOOD PLAN株式会社
代表取締役社長 加 納 千 裕 様

さらなる事業拡大や、投資家・金融機関の信用度向上を目指して
これまで、当社では埼玉県主催のSAITAMA Smile Women ピッチや、NIKKEI THE PITCHなどの全国規模のピッチイベントで実績を重ね、フードテック業界における認知度を着実に上げてまいりました。そこからさらなる事業拡大の機会を求め、埼玉ニュービジネス大賞に応募しました。
当社はまだまだ投資フェーズで、売上や利益などでの信用度がまだない段階でのデットファイナンスでの調達にも限度があり、エクイティの選択肢が広がることが重要でした。ピッチに出場する最大の魅力は、受賞実績を重ねることで投資家へのアピールや金融機関の信用度が向上することや、スタートアップ界隈でのネットワークが広がることです。
当社が向き合う「かくれフードロス」という課題
ASTRA FOOD PLANが向き合っているのは、「かくれフードロス」という課題です。かくれフードロスとは、統計上「食品ロス」として認識されにくい食品廃棄のことを指し、主に食品の製造・加工・流通過程で発生する食品残渣や規格外農作物などがそれにあたります。これらは、まだ食べられるにも関わらず廃棄されることが多く、持続可能な食料システムの観点から大きな課題となっています。食感が悪いだけで、加工すれば実は栄養価が高いものも多く存在します。日本国内で年間472万トンの食品ロスが発生する一方で、かくれフードロスはその約4倍にあたる2000万トン以上と推計されており、大量の未利用資源が活用されていないのは非常にもったいないのです。
この課題に取り組むため、ASTRA FOOD PLANは多様な施策を展開しています。その代表例として、吉野家との協業が挙げられます。ASTRA FOOD PLANは、吉野家の玉ねぎ加工工場に『過熱蒸煎機』をレンタルし、牛丼の調理過程で発生する玉ねぎ残渣を殺菌・乾燥して乾燥粉末にしてもらいます。そのパウダーを当社が買い取ることで、機械のレンタル費用のコストを相殺するビジネスモデルを実現しました。このパウダーを活用し、当社では新感覚クラフト調味料「タマネギぐるりこ」を開発・販売しています。「タマネギぐるりこ」はプレーンタイプに加え、味付けやオイル漬けなど、複数のラインナップ展開を進めており、食品ロス削減とともに新たな食の楽しみ方を提供することを目指しています。また、一般消費者向けの商品ラインナップ拡大を図るとともに、アップサイクルフードを日常の食生活に浸透させるためのコンソーシアムの形成にも取り組んでいます。
受賞により広がったネットワークや協業機会を活かし、新たな挑戦へ
受賞後、当社との協業を希望する企業や金融機関からの問い合わせの増加が顕著になりました。これにより、新たな事業連携の機会が生まれ、同じ志を持ったスタートアップや食品加工の技術を持つ企業とのネットワークが広がりました。
新たな動きとして、SBIR補助金を活用し、飲料残渣の解決に取り組み、量的インパクトのあるプロジェクトを推進しています。食品へのアップサイクルに留まらず、飼料化も含めた技術開発を進めることで、より持続可能なビジネスモデルの構築を目指しています。
さらに、米国市場の残渣活用モデルを日本に導入することも視野に入れています。日本の食品メーカーは廃棄の方がコスト的に安価であるため、なかなかアップサイクルの選択肢が浸透していません。前述のレンタル・買い取りモデルと、パウダーの高付加価値化に向けた商品開発なども掛け合わせて、環境負荷低減と経済合理性のバランスを取る新たなビジネスモデルを模索しています。
ビジネスコンテストは事業の方向性を確認する「答え合わせ」の場
ビジネスコンテストで重要なのは、人の心に刺さるプレゼンテーションを意識することが重要です。ビジネスアイデアを通じて社会課題を解決することを、共感を生むストーリーとともに聞き手に伝えることが成功の鍵となります。
埼玉ニュービジネス大賞においては、より具体化されたアイデアや実現可能性を重視しました。シードフェーズでも参加できますので、自身の事業をブラッシュアップする機会として活かしてほしいです。コンテストは単なる競争の場ではなく、事業の方向性を確認する「答え合わせ」の場としての機能も持っています。
埼玉ニュービジネス大賞の受賞はゴールではなく、新たな成長のスタート地点です。自身のビジネスを振り返り、さらに磨きをかける機会として、ぜひ挑戦してみてください。

埼玉県富士見市鶴瀬東1-10-26
今回のインタビューは以上です。ご協力いただきました受賞者の皆様ありがとうございました。埼玉ニュービジネス協議会は、受賞者様のこれからの活躍を心から応援するとともに、新たな挑戦を目指す多くの方々を支えていきたいと考えています。
※掲載内容につきましては2025年3月4日現在の情報となります。